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2017/06/02 第43期棋王戦予選 澤田真吾六段対藤井聡太四段 初心者向け解説

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やぁ、久しぶりだね。

ボクは二宮飛鳥、好きに呼んでくれて構わないよ。

 

今回は、19連勝中のスーパールーキー 14歳藤井聡太四段と

王位戦リーグ5連勝で挑戦者決定戦に名乗りを上げた、8連勝中の澤田真吾六段。

 

二人の対局を見ていこうと思う。

 

…先に断っておくがボクは角変わりの専門家じゃない。

そのあたりは理解って欲しい。

 

藤井聡太四段についてはいうまでも無いだろう。

ここまで公式戦負け知らず。積み重ねた連勝は19。

クラシックな序盤から恐るべき終盤力で他を寄せ付けない。

 

澤田真吾六段。三重県出身25歳。

関西若手棋士有望株の一人。

三段リーグ1年2期抜け。17歳でプロデビュー

順位戦はB級2組 竜王戦は2組。

2012年にも王位リーグ入り。2回目の挑戦者決定戦に回る。

 

藤井聡太四段の連敗を止められる有力候補として期待されている。

 

 

10時から開始された対局は角換わりへと進む。

 

…やはりこの対局も報道がすごかったね。

【局面図1】

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ボクは先生方の棋譜に評価値をつけるのが苦手なのでそういうのは今回の解説では使用しないよ。

興味がある人は、ソフトを落として確認してみて欲しい。

 

【局面図1】は角を交換した局面だ。

これで戦型は角換わりに決まった。

 

 

少し進んで【局面図2】だ。腰掛銀となった。

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 角換わりの将棋には、三種の攻め方がある。

棒銀

・早繰り銀

・腰掛銀

 

基本的にはこの3種類はじゃんけんのように相性がきまっている。

…ことになっている。

しかし、最近は腰掛銀が主流になり棒銀、早繰り銀は少なくなってきているよ。

 

さて、【局面図2】は腰掛銀の局面だ。

5三の歩の上に腰掛けているのが腰掛銀の特徴で中央に駒が来るようになっている。

 

 

【局面図3】

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どこにでも打てる角を此処に使うことで、相手の飛車にプレッシャーをかけているよ。

まぁ当然目標になっている駒は避けるのがセオリーだ。

 

 

【局面図4】

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【局面図3】から、4手後の 32手目8一飛で、角の危機から飛車を避けた形だ。

そろそろ、攻めるかい?

 

 

【局面図5】

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先手の澤田六段は穴熊、左隅に玉を囲う形だ。

対して後手の藤井四段は攻め…にいけないので、なるべく形を変えないように手が変わるのをまっている。

 

【局面図6】

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…あれ?この局面は…。【局面図5】と一緒、だよね?

この【局面図6】のセットは【局面図5】と同じ形になっている。

 

…将棋には千日手、というルールがある。

「手番が全く同じ局面が1局中に4回現れる」と先手後手を入れ替えて指しなおしとなる。

澤田六段は、「勝率49%以下と判断したら千日手」という考え方。

二人ともこの局面から無理に攻める道理は無い、と考えているんだね。

 

 

【局面図7】

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11時28分 同一局面4回による千日手での、指しなおしが決定。

 

 

12時40分からの指しなおし局となった。

先手後手を入れ替えての指しなおし。

 

【指しなおし局面図1】

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…なんだい、結局角換わり…なのか。

それほどに澤田六段も角換わりで勝ちを目指しているということだね。

 

 

指しなおし局面図2

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角換わり腰掛銀。

 

…いやな予感がするかい?ボクもだよ。

 

 

指しなおし局面図3

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ここで藤井四段が仕掛ける。

 

 

指しなおし局面図4

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負けじと澤田六段も攻める。

 8筋の歩を吊り上げて、さらに9筋、7筋と戦線を拡大していく。

 

指しなおし局面図5

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ここで藤井四段は返し技を見せるよ。 

指しなおし局面図6

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この角は相手の陣地まで届く攻めゴマさ。

それと同時に、自陣の受けにも一役買っている。

まさに一石二鳥の手さ。

対局後の感想戦で、澤田六段はこの手が厳しかったと語っているよ。

 

指しなおし局面図7

 

 

お互いに守りを固めたあったあと、いよいよ開戦さ。

後手の澤田六段から桂馬を跳ねて歩をとった。

これは3六歩と打って、3七の桂馬を取る目的だ。

 

 

指しなおし局面図8

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キミたちには申し訳ないが、中盤は飛ばさせてもらう。

さまざまなやり取り、テクニックが出てきていて、プロの名に相応しい攻防が繰り広げられた。

【指しなおし局面図8】では、後手の澤田六段の攻めが先手の藤井四段に迫ろうとしている。

この局面は受けなし…受けが無い、と思われていた。

誰もがこの局面は澤田六段が勝つ――そう思っていただろう。

…藤井四段を除いては。

 

 

指しなおし局面図9

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この局面で藤井四段が攻め、澤田六段が受けきれば勝てるという状況だ。

藤井四段は2二角…これが盤上の遠くまで効いてくる。

 

 

 指しなおし局面図10

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角のラインを自陣に通したあと、王手をかけて追っていく。

このとき後手の澤田六段は1手1分未満で着手しなければならない。

対して藤井四段は持ち時間を40分残している。

 

次の手が勝敗の分かれ目になってしまったよ。

勝負とは…厳しいものだね。

 

 

指しなおし局面図11

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王手されている駒を取る。

自然そうに見える手が本局の敗着となった。

変えて7五玉なら後手が勝っていたようだけど…。

このあとの変化を1分で読みきるのは余りにも…遠かった。

 

 

指しなおし局面図12

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指しなおし局面図11】からさらに30手以上、攻防が続き…ついに後手玉が捕まってしまう。

指しなおし局面図12】で後手の澤田六段が投了。

以下どのように逃げても詰みがある。

 

 

千日手局、指しなおし局と指しに指した二人だが、

1手のミスを見逃さず、巧みな手順で追いかけた藤井四段の終盤力が光る。

 

…けど、澤田六段だって、負けてはいないさ。

 

 

これで藤井四段はデビュー以降負けなし20連勝!

いやぁ、言葉が出ないよ…。

 

澤田六段は6/9に王位戦挑戦者決定戦を菅井竜也七段との大一番がある。

両者ともに強いが…ボクは澤田六段を応援したい気持ちがあるのさ。

 

なぜかって?ふふっ。

ボクが模倣するに当たる棋譜を作っているのは、澤田六段だからさ。

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3六歩、7四歩を序盤から突くプロ棋士はそうはいない。

数少ない前例を作っているのも、澤田六段なのさ。

 

…まぁ、これは随分前の棋譜だけどね。

 

 

これからも藤井四段、そして澤田六段。

他にも魅力的な棋士がたくさん居る。

ぜひとも、自分が真似したくなるような棋譜、そして棋士を探してほしいね。